フリーターと教育の進路の関係 (教育と労働市場、職業教育、高校の科とフリーターの関係、大学の文系、理系とフリーターの関係、西欧 先進国の職業教育)






 フリーターの割合

 最終学歴の高等学校の科、大学の理系、文系とフリーターの関係です。


(1)高等学校の科 (最終学歴)と現在 フリーターである人の割合 (卒業して何年もたっている人も)。
                  男性     女性
普通科            約71 %   約77 %
工業・商業科         約41 %   約75 %
普通・工業・商業科以外   約100 %  約88 %


(2)大学の文系、理系と現在 フリーターである人の割合。
              男性        女性
文科系 (文系)   約57 %     約62 %
理科系 (理系)   約28 %     約44 %


という結果になっています。


参考文献
http://risya.hus.osaka-u.ac.jp/research/ch4.pdf


 <国税庁の調査>では
2012年に受け取った平均の給与は
(1) 正規(役員らを除く)のサラリーマンは 468万円 / 1年
(2) 非正規168万円 / 1年
で、非正規の給与は正規の約 0.359 倍です。 すなわち半分よりずっと少なく、約 1/3 なっています。
これほど大きな差があります。



●大学や(大学の後の)大学院関係では

(1)法曹(ほうそう)の失敗者。 (3回まで受験できる司法試験の失敗者、司法試験は通ったが職のない人)

(2)アカポスの失敗者。 (研究者や大学の教職員に長年なれなかった人)

の2種類は新卒で無くなり、年をとってしまいます。 日本ではその場合、正社員になるのが困難になることが多い。
(1)と(2) が無職・フリーターになっている典型的な例として社会的問題になっています。



 ●大学院の「博士課程を終(お)えた後の進路」 (文科省2012年調査)
2012年の博士課程修了者 1万6260人
無期雇用の正規職員は8529人(52 %)
1年以上の有期雇用の非正規職員は2408人(15 %)
主に1年未満の「一時的な仕事」は855人(5 %)
進路が決まらない「就職も進学もしない人」は3003人(18 %)
つまり、安定した職に就(つ)かない博士が計38 %であった。
 博士課程修了者の「非安定雇用」の割合は
医学、薬学などの「保健」は24 %
「農学」は53 %
数学、物理学、化学、生物学、地球・宇宙科学などの「理学」は57 %
文学などの「人文科学(じんぶんかがく)」は60 %
つまり、すぐには利益につながらない基礎研究などの分野は、特に企業への就職が難しい。


 これから日本もいろいろ困難が増えてくるかもしれません。
◯ 若い方は将来について、親などとよく話しあいましょう!
 

◯ 中等教育での「職業教育の割合 (高校の工業科、商業科、農業科など)」は、

日本        約30 %
ドイツ・オランダ  約70 %
イギリス・フランス 約50 %

となっていて、日本は飛び抜けて先進国では少なくなっています。


○ ブラック企業とは若者を使い潰 (つぶ)す企業のことです。
 「ブラック企業」の見分け方は
(1)その企業の3年後離職率を調べる。 大卒の場合は平均は30 % 前後です。 3年後離職率が大きい企業は注意したほうが良い。
(2)平均勤続年数が短い企業は注意したほうが良い。
(3)従業員数の割に採用人数が多い企業は注意したほうが良い。
(4)有給休暇の消化の平均を確認したほうが良い。


 日本は1980年代後半のバブルの時代までは、就職問題はそう深刻ではありませんでした。
これからの日本の状況は必ずしも楽観視できません。
 教育と労働市場のギャップが問題になってきています。
今後は日本でも工業高校・商業高校・農業高校など高校の職業教育の割合を増やすことが大切になってくるのではないかと思われます。



by 南陽彰悟 (NANYO Shogo)